怖かった話 その25

線路に耳をつけ伝わって来る 
         汽車の車輪の音をじっと伺う。

父の背中は開襟シャツの背中に肋骨が浮き出して 
 飢餓状態を脱することが生き残りの
   たった一つの手段だと語っていた。
線路を歩いてゆく 父が隣の主要駅に定期的に通った国鉄の
臨時社員の内容は知らない。
 汽車の窓から働き手を戦地に引っ張られ耕作地放棄を
余儀なくされた畑らしき草ぱっらに もしかしたら
 ジャガイモの取り残しでもあるかもと 俺を連れて
村を出て線路にでて 線路沿いに枕木の上を辿って行く
 もし収穫ができれば 俺の小さな身体でも 風呂敷に
包んで背負って欲しい。 父の願いだ。

橋がある。 人道も退避場所もない子供目線では長い橋だ
 枕木の間から川面が見える。三分の二ほど渡ったとき
あろうことか機関車の蒸気の音と汽笛が俺たちの後ろから
 迫ってきた。 橋の残りは まだまだある。

父の決断は以外で 川に俺を突き飛ばし 
 自分も足から飛び込む 泳ぐほどもない浅い川で父に
手を引かれ川岸に向かって歩き出した。 汽車が橋を渡る
 轟音を残して頭上を走る車輪を見てた。
危機一髪だな 見る見る遠ざかる。

後の顛末は さらに。。。


多摩川の河原は外来種と在来種の「関が原」で生き残りをかけ
 戦いが続く これはA君が特定した「カントウ・タンポポ」で
彼の知識の奥行には 信頼が置けるし ITだけじゃなく偏って
 ないところがよい。 今度は俺は河原の石に興味がある。
ブック・オフで岩石の種類の本を探している。 鳥・種・蝶・石
 老化は防げないが好奇心は旺盛で ボケてる暇がない。 

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