その村の話2 その23

幼児の1里は果てしなく遠い。 ほのかに磯の香がまずは来る
 次に火の見櫓が道の果てに浮かび上がる。 やがて松籟の
騒めきと浜を洗う波の音が耳に聞こえる。

東北の太平洋を望む寂しい寒村に疎開する訳は先に書いた。

いまだに何故と不審に思うことは あの東京の家の
 斜め向かいの文房具屋のIさんのおじさんと
そのお祖母ちゃんが 一緒の村に疎開してた。 
Iさんも我が家も生粋の江戸っ子で田舎がなかったのか。

田圃や畑や真正面の海に囲まれながら 食べ物確保は亡母の
 嫁に来た時に持ってきた着物や身を飾るもの それに
家財道具の汽車で運んだ僅かな 食器類の類を半農半漁の
 村人との物々交換で食いつなぐ 空腹感しかない。
 
さらに続く

のんびり 日曜日は釣り糸を垂れる。 半島の周辺はきな臭く
 騒然としてるのに この平和な絵面は喜んでいいのやら。。

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