映画館  その45

学校の廊下に父が現れ 先生に早退させてと言ってるのが
 聴こえる。 学校の裏門を出れば すぐが自分の家で素通り
して駅に向かう。

大抵は自由が丘にあった洋画専門の映画館 南風座だった。
 あの頃は海賊者はエロール・フリンで桁違いの二枚目。
西部劇はランドルフ・スコットだったか 騎兵隊と
 先住民(インディアン)が悪者扱い。アパッチ・コマンチ
とかが開拓者を襲う そこへ騎兵隊が駆け付ける。 水戸黄門
 さまと同じタイミングだが 胸躍らせてみてた。

劇場の廊下に出ると売店がある。  いつも買ってくれるのが
 乾燥芋か都昆布だった。

もう記憶が定かじゃないがハリウッド・スターも正統派の
 美女・美男子でカラーになりつつあった。
わざわざ「総天然色・シネマスコープ」とか いい時代だった。

父は米軍キャンプで働いていたから 字幕が無くてもヒアリング
 はできただろう。

遠い親戚の八木さんは黒人 父は白人とはっきり差別されてた。

 父曰く 最前線に兵隊でくる連中は米大陸でも内陸部の自分の
名前も書けなくて父に代書を頼んでいた。
 
こんな自分の名も書けない奴らに日本はなぜ負けたが口癖だった。
今月はやたら忙しい。 カミさんなどは新生会(老人会)の会計に
 されて コーラスも会計 俺も危ういが絵画教室で幹事役とか
言われたら その日で皆さんにサヨナラの挨拶をする。

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