勉強もせず その54

中学生になってもバタヤアルバイトはこずかい稼ぎで
 中学のすぐ隣の今では住宅街になってるが そこに
新築の家を建てすんでる住民さえも そこが工場の
 爆撃で累々とした焼け跡地であったなど知らないで
住んでるに相違ない。

学校の前を流れる六郷用水の支流は 町工場が流す
 工場排水で 見る間に油と泡と大変な悪臭で 環境を
見事に破壊した。 工場の発展にともなう代償が汚濁と
 汚水の洗礼である。

科目別で先生が変わるとF組まであった55人クラスも
 先生が不足して自習が増えるが これがチャンスで
巧妙に学校を抜け出して その実習の時間だけ近くの
 焼け跡に入り込んで せっせと非鉄金属の銅や真鍮を
トリュフを探す犬のようになって探し回る。

退校時に荒れ地に隠した金属をカバンに忍ばせ家には
 カバンだけ窓から放り込んで バタヤの仕切り屋へ
本日の収穫を現金化して その金で貸自転車へ。

世界の4大珍味 フカヒレ・キャビア・フォアグラ
 そしてトリュフを食べつくして もう充分満足で
己の分相応を知る。

蟹は己の甲羅に合わせて穴を掘る。 鯵の開きが
 美味と感じるし まぁ代々の庶民の暮らしは
腹を満たせれば 幸せである。 お金を使わせて
 それはないだろうと言われれば 申し訳ない。


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