なんでも一番 その５３

世の中って奴は面白いもんで　なんでも順番を
　つけたがる。
彼奴は絵を描かせたらクラスで一番とか　歌を
　歌わせたら彼奴かなとか　どんな世界でも
あそこは何番だとかいう。

中学生になった。　２校の生徒が中学に通学する
　本校と分校といっていいほど小学校が合流する。

そこで起こるのが　各校の「喧嘩一番」が　当然の
　ごとく雌雄を決するのだ。
参ったのは言わば行司役を俺に振ってきた。場所は
　多摩川の河原だ。

入沢と鳥海の対決で　その顛末はあっけないほどで
　本校からきた鳥海の圧勝である。

なんのことはない。　あの頃年頃は成長さが大きく
　１６０センチと１７０センチの頭ひとつの差が
決めた。　あくる日から学校の反応は行司役が一言も
　喋らないのにみんな　だろうなって顔してた。
やれやれである。

３ヶ月で５キロ減量は厳しかったが　早起きは景色が
　一味違う得をした。　いつもの橋も陽を浴びて
ピンクに輝く。　今日は食事会だ。　暑くなりそう。