戦中戦後のどさくさ その33

戦前の強制疎開をされる前は うちの店と隣の
 中村茶舗の間は茶舗と別に一間幅くらいの
道路からちょっと引っ込んだ玄関に続くスペースが
 あり右脇に設樂焼の狸が掛け取り帳を持った像が
ユーモラスに鎮座していた。

戦後になって世の中が少し落ち着いた。 近所を
 それとなく歩くと その狸も なんとあの街では
見かけないほどの垢ぬけた店の ぴかぴかな真鍮の
 取っ手のドアがひとつ線路よりの焼け残った洋風の
屋敷のドアになり 
      おまけに狸まで平然と置いてあった。
狸に化かされたかと親父と笑ったっけ ドアも狸も
 全然似合わないトタン葺きの
バラックじゃ返して貰ってもしょうがないから。
 焼夷弾が雨のように降るのだから 命あっての
何とやらである。


9:30に東邦医大とか言って 通勤時間に川崎まで
 でてご苦労さんで疲れたろう。 俺は呑気に
ウクレレで区民プラザへ。

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